2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

聖域(詩)

湖畔の街の森である ちいさな森で抜けるのに徒歩でも然して時間はかからない 道は寂しい 杉の木の群れの威容の足もとを心細く寂しく伸びる 途中に一つ奇異とも映るものがある いやに大きな赤い鳥居だ 神社はないが森の途中で鳥居を潜る 夏 湖の水がつくった…

河童(かっぱ)随筆

河童の木乃伊(みいら)は思いのほか小さいらしい。そして思いのほか怪奇なグロな様相である。確かどこかの神社か寺に保存されている。 旺文社の国語辞典によれば、河童は頭上に水をたくわえた皿をのせ甲羅を持ち子供の形をした想像上の動物である。 想像上…

叫び(詩)

夏、 水と火花の坩堝(るつぼ)の夏を壁と窓とで断って禁じてその部屋はしじまと影を内に囲っているのです。 キッチンにグラスが一つ、 水を充たして冷えている。 だが生活はここにない。 呼吸と声を喪って時計の針が過去のどこかで止まったままだ。 静寂と…

二つの星(メモ)

二つの星が衝突し二つとも滅んだならば滅ぼしたのは二つの星の互いを差し寄せる引力だろう。そんな関係もある。だけどもこれは哲学でない、もっと多感な青みを孕む麗しい清純派の感傷である。清純派の性を換えると半童貞になるから悲劇だ。 現在地と現時刻は…

生死を問わず(詩)

この女。 女には〝マリテス〟という呼び名があるが真に受けている者は少ない。かつて娼婦であったという噂があるが、これは何故だか何となく多くの者が真に受けている。 色褪せたレインコートは砂埃にまみれまぶされなおさら色が分からない。何色だろう? 無…

太陽の匂い(詩)

気凛(きりん)とは匂いのことであるらしい そこはかとなく立ち迷うそれはほのかな匂いと想う 白い項(うなじ)のほのめくように想い起こさす幻覚めいた微かな匂い 帰宅した時、衣服から確かに嗅いだように思える戸外の風と温度の匂い 窓辺で横たわる陽だま…

仔羊(こひつじ)の街(詩)

おれはおまえの罪状をひとことで要約できる 〝ひき返せる段階でひき返そうとしなかった〟 おまえには生涯つづく限りない奈落の時を 彼女の枕辺に青の造花を おまえには生涯つづく限りない奈落の時を 彼女のかたわらに花の心を おまえが負ける主な理由は 死ぬ…

TATOO《刺青》あり(詩)

役柄もさまざまだ 彼女は実におっとりとして声も身体も性格もやわらかな人である 傷は手首と背中にあった リストカットの左手首の幾えもの傷 禍々しい何か凄みを感じたものだ 筋彫りだけの鳳凰はその赤線の両の翼をいつもひろげていつも彼女を抱いている 彼…

事件(詩)

この人は職人さんです 質のよい箸置きを三十三年作って来ました 召集されて戦争に行き ついに武勲は立てなかったが 八歳の女の子を隊の仲間と輪姦(まわ)して殺した この人は そんな人です。 この人は会社勤めの月給取りです 二十五年まじめに勤め人事課の…

夢菩薩(ゆめぼさつ)詩

身籠ったのはいと妖しげな一片の幻影である 何時ぞやの暮れ方の緋色の刻に孕んだもので うら哀しい安普請(やすぶしん)の仮住まいの庭で孕んだ 先刻降った驟雨(しゅうう)の水が溜まっていたのである 覗けばそこにわたくしでなく別な景色が浮かんで見えた …

氷の世界~井上陽水氏に一方的に勝手に捧ぐ~(詩)

街は蒼白、血の気の失せた痩せこけた頬。 古い時代の古い機構を張り巡らした古い国家のその片隅の場所にいて、おれを呪いの監視下に位置づけたのは無念なことに神様でないだろう。 無念なことに、これは確かにただの迂遠な嫌がらせである。 友人の一人がおれ…

ヴァンパイア聴聞(Ⅰ)詩

かつてこの身も老いと寿命を知っていたかとそんな瑣末なディテールに君は興味を抱いたわけだ。──知らないね。 疾うに忘れたものかもしれず或いは答えることを拒否する込み入った何らかの事情と〝傷〟があるのかも。──知らないね。君の得られる答えは残念なが…

天使と悪魔(詩)

それすなわち憑きものである 眩暈(めまい)のようにおれを眩ましだけど助けも導きもするおれの味方で介添人で敵である 敵。 おれは心に敵を飼う 外部の敵はそれに当たらず そのためおれはお愛想さえもいまだ奪われはせずにいるようだ おれを怨んだ君のため…

三つの貝殻(詩)

悪魔としたのはカラオケだけだ ほのかに陰るそこは飲み屋のカウンターの隅 「よお」 と恰(あたか)もおれと馴染みであるかのような顔と素振りで 年かさのキューバ人に化けてはいたが隠しきれない牙と気品があった 奴は言った。「博奕(ばくち)には手を出す…

サンクチュアリ(詩)

信号が変わるのを待つ交差点での手持ち無沙汰な数分間、たまたまそこに居合わせた六人にはたぶん驚くべきことに六通りの別々な趣向の違う人生がある。 彼の人生をごく手短に語ろう。少し意外な運命だからそこに神秘があるはずだ。 1982年、吉澤寛二(よ…

「悪の華」表紙絵よりその印象

https://www.amazon.co.jp/%E6%82%AA%E3%81%AE%E8%8F%AF-%E6%96%B0%E6%BD%AE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%AB/dp/4102174036# 端的に言い表すなら、この女神には蠱惑と死が宿るのである。妄念。この人は画家を妄…

水無月(みなづき)

好奇心 実に嫌味な少年である 蝸牛(かたつむり)の殻を外せば蛞蝓(なめくじ)となるのでは? そうして彼の殺めたものは 確かにそのように見え 水無月の黒ずむ心…… ✳ 画像はフリー素材です。 まあ、段々と調子は戻っている感じがします。

曠野(あらの)詩

その船を降りたなら 野蛮なもので一杯のその領域の土を踏むなら そこで死なずに生きるなら 再生可能な四肢を持つ軟体動物の肉体を必要とする 何て不出来な異世界だろう! あざれ膿む屍どもはにたにたしながら斧を振るい 悲鳴はすでに充満し至るところで谺(…

夜行性(詩)

けだものと愛を宿した血汐(ちしお)の中に夜があるとか 恣(ほしいまま)欲望のまま彼は眠って飽和している 充ち足りている 餓えを感じてようやく眼ざめ そしてようやく偶然のような運命を尋ねて街へおもむくという だが彼はたいていは行路の人である 彼は…

雑記

思いも寄らぬ運命と似て狂気もまた音もなくしのび寄る。正気と狂気の境目に確かな明瞭なボーダーラインなどはないのです。いつとはなしに飲み込まれ迷い込んだら出口のドアは容易には見つからない。狂気とはそういうもので、中にはそこを出られないまま人生…

眼(詩)

あかね色の夕空にパカッとあいた巨大な眼 おれの狂った理性にはこんな恐怖が馴染むのである 瞳の色は狐のような金色(こんじき)で そこでおののく金切り声は深遠に囚われて聞こえはしない 永遠に暗い深間をさ迷い続く声の谺を だがおれは然して怖れず。 ✳ …

雑談

おれは詩人ですからね…… 詩で一円も稼いだことないけど(笑)でも、本物の詩人です。本物の表現者です。そう自負している。でも、それ以外は偽物だと思う。二十代の頃に色々なことがあった。だから自分に色々と能力があることは知っているんです。でも、どれ…

雑談

いま書いている作品に関して、悩んでいることがあったんです。起承転結の起と結はあるけど承と転をいまひとつ欠いていること。真ん中に大したドラマがないんです。 「黄金の腕」という映画をご存知ですか? これは麻薬中毒の話だけど、ザブプロットとして主…

上の階はほぼ確定ですね。馬鹿が馬鹿を味方につけて色々やってるけど。これを投稿したら、移るかも。でも、限られてる。 最近、閉めたはずの鍵が開いていたり、部屋の中のものがなくなっていたりするんです。気のせいかもしれないけど、上にキモ犯罪者が住ん…

続・ストーカー

いまだに盗聴・盗撮行為をおこなっている連中がいますね。個人情報も盗まれました。おれについての悪評を流してもいるみたいです。ネットだけでなくおれの周囲も巻き込んでいる。最悪。迷惑。こんな事のためにどれだけ金を使ったんだろう、連中は。こっちは…