役柄もさまざまだ
彼女は実におっとりとして声も身体も性格もやわらかな人である
傷は手首と背中にあった
リストカットの左手首の幾えもの傷
禍々しい何か凄みを感じたものだ
筋彫りだけの鳳凰はその赤線の両の翼をいつもひろげていつも彼女を抱いている
彼女の背をいつも後ろから抱いている
たぶん彼女はマゾだけどおれはサドでは余りない
いちどだけ
おれは彼女にいちどだけ逆らった
〝おれの手首も切ってみて〟
景色を宿す傷痕をおれにも少し教えてくれと
✳ 画像はフリー素材です。フリーイラスト？七三ゆきという方の作品みたいです。詩に合わせて加工しています。
「タトゥーあり」懐かしい映画のタイトルです。この詩のモデルの女性のことは、おれは以前にも詩にしてますね……
