2023-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ラルジャン(映画評)

youtu.be ラルジャンとはフランス語でお金のこと。贋札とは知らずに贋札を使ってしまった主人公の転落劇を、張りつめた金属繊維のような緊張感の持続と共に描いた凄い映画、傑作という枠を完全にはみ出た完全に凄い映画です。 抑制の徹底された画と演出、省…

顔本軽蔑

www.asahi.com 今時、フェイスブックなんて誰もやらないと思うけど、フェイスブックがダサいのも目先の利益を優先した結果でしょうね。金になる金にしかならない金に眼の色変える前時代的野蛮人のおっさんを優遇した結果です。その結果があのダサさ。あの暑…

ガラスの鍵(詩)

わびしさの黴(か)びた匂いがほのかに匂うその部屋で、 このひとは華やぐものを放つので異物に映る。 部屋は八畳一間の朽ちかけたアパートの部屋。 彼女は高級素材の衣服とブランドもののバッグとに飾られた三十路の美人。 髪色はベージュだ。 なぜトレンチ…

令和枯れすすき(詩)

昭和ではなく今のこと、 雪ひらのちらつく晩の居酒屋で、 しなびかけた女が独り、 滔々とかつて慕った温もりをなおも慕っているのです。 あの人と出逢った晩も、 そういや雪を見たっけね。 あの人の肩にポツンとちょうちょみたいに留まったの。 あらと思って…

TEMPLE BLOOD(詩)

彼らは夜、 それも暗夜の拡張した瞳孔を持つ。 木菟(みみずく)という異名にはそんな謂われがあるという。 みな思春期の少年少女で、 何者かによって集められ、 何者かの負い目のために、 何者かの身代わりとして差し出された生け贄である。 何のため死んで…