TEMPLE BLOOD(詩)

 

彼らは夜、

それも暗夜の拡張した瞳孔を持つ。

木菟(みみずく)という異名にはそんな謂われがあるという。

みな思春期の少年少女で、

何者かによって集められ、

何者かの負い目のために、

何者かの身代わりとして差し出された生け贄である。

何のため死んでゆくのだろう。

何のために戦うのだろう。

彼ら自身がそれを知らずに死なないために戦っていた。

外生物は半植物の増殖する細胞である。

その無数の触角器官には鋭利な刺(とげ)の牙が具わる。

思春期の熱い血汐(ちしお)がとめどなく流されたのだ。

きめ細やかな膚をズタズタに苛んで、

切断された四肢が転がり、

はらわたがこぼれて垂れた。

悲鳴の上がるたび、

彼らの拡張した瞳孔に映ったものは何だろう?

さっきまで命を糧にしていたものが、

血汐の中でそれを失くしていくのを眼にすることは恐怖のはずだ。

食い止めるには脆弱すぎる。

彼らの装備はお粗末すぎて、

この惨劇を食い止めるのに役に立ってはくれそうにない。

それは金属元素の黒い刀で刀としての機能のほかに何も持たないしろものである。

夜の深間の街のどこかで、

木菟(みみずく)の瞳になおも恐怖の色が宿りつづけるだろう。

いつまでも続くだろう、

 

この戦場が美だ。

 

 

※  画像はフリー素材です。

ある有名な漫画の影響は否めない作品。