時と場所、行為と過ちとのあいだにたまに窓枠がある。つめたく触れるもの。金属質のつねに微光をはらむ窓枠である。
つねに窓からは馴らされた何かが見える。それは街。それはゆき交う人々の歩みと停滞、停泊。それは駅。秩序は到るところに蔓延して曖昧に飼い馴らすのだ。
行為と過ちとは要するに死ななかったことの結果。むしろ地図と似ている。時間や鼓動のはらむような流れや継続性とは微妙に違う何かが支柱となっていると感じる。座標と方位と土地。目的地。
膚と接した窓枠の温度は時として少し鋭利だ。時として。膚を傷める清冽のつかのま白い喪失。
駅の名前は時として少し文学的。それは地図ではいつも片隅の場所である。
光源に夜を感じる。
# other side
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