ラルジャン(映画評)


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ラルジャンとはフランス語でお金のこと。贋札とは知らずに贋札を使ってしまった主人公の転落劇を、張りつめた金属繊維のような緊張感の持続と共に描いた凄い映画、傑作という枠を完全にはみ出た完全に凄い映画です。

抑制の徹底された画と演出、省略と簡略化を特徴とする作品言語を持ちながら、立ち現れてくる相貌の凄惨さに心が冷える、観たのはずっと以前のことだけど、鼓動を冷えた握力につかまれたように感じたものです。

白いお指のしなやかな手を画面の中にしばしば見つけ、音は映像よりも奥深く多くを語る。荒んだ闇に、粘液質の赤黒い滴るものを見る。そんな場面は確かなかった。だけどこの映画を想うといつもその印象が脳裡に浮かぶようです。

何か絶句するもの。凄みある息の休止を後に残して映画は終わる。一時間半もない映画。こちらを声を失くさせたまま取り残すから特別でした。

 

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評論家ではないけど、映画評を書きたくなったので。観たのはずっと以前のこと。敢えて観返したりはしていません。

それもありかなと。笑

 

※  画像はフリー素材です。

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