2023-06-26から1日間の記事一覧

ヴァンパイア聴聞(Ⅰ)詩

かつてこの身も老いと寿命を知っていたかとそんな瑣末なディテールに君は興味を抱いたわけだ。──知らないね。 疾うに忘れたものかもしれず或いは答えることを拒否する込み入った何らかの事情と〝傷〟があるのかも。──知らないね。君の得られる答えは残念なが…

天使と悪魔(詩)

それすなわち憑きものである 眩暈(めまい)のようにおれを眩ましだけど助けも導きもするおれの味方で介添人で敵である 敵。 おれは心に敵を飼う 外部の敵はそれに当たらず そのためおれはお愛想さえもいまだ奪われはせずにいるようだ おれを怨んだ君のため…

三つの貝殻(詩)

悪魔としたのはカラオケだけだ ほのかに陰るそこは飲み屋のカウンターの隅 「よお」 と恰(あたか)もおれと馴染みであるかのような顔と素振りで 年かさのキューバ人に化けてはいたが隠しきれない牙と気品があった 奴は言った。「博奕(ばくち)には手を出す…