2023-06-21から1日間の記事一覧

夜行性(詩)

けだものと愛を宿した血汐(ちしお)の中に夜があるとか 恣(ほしいまま)欲望のまま彼は眠って飽和している 充ち足りている 餓えを感じてようやく眼ざめ そしてようやく偶然のような運命を尋ねて街へおもむくという だが彼はたいていは行路の人である 彼は…

雑記

思いも寄らぬ運命と似て狂気もまた音もなくしのび寄る。正気と狂気の境目に確かな明瞭なボーダーラインなどはないのです。いつとはなしに飲み込まれ迷い込んだら出口のドアは容易には見つからない。狂気とはそういうもので、中にはそこを出られないまま人生…

眼(詩)

あかね色の夕空にパカッとあいた巨大な眼 おれの狂った理性にはこんな恐怖が馴染むのである 瞳の色は狐のような金色(こんじき)で そこでおののく金切り声は深遠に囚われて聞こえはしない 永遠に暗い深間をさ迷い続く声の谺を だがおれは然して怖れず。 ✳ …