叫び(詩)

夏、

水と火花の坩堝(るつぼ)の夏を壁と窓とで断って禁じてその部屋はしじまと影を内に囲っているのです。

キッチンにグラスが一つ、

水を充たして冷えている。

だが生活はここにない。

呼吸と声を喪って時計の針が過去のどこかで止まったままだ。

静寂と身じろぎしない影の匿う一杯のグラスの水。

 

何故か聞こえた、

真っ赤な色をしたものが。

窓の向こうは盛んな時期の只中の態(ざま)である。

 

 

✳ 画像はフリー素材です。

ずっと前に書いた詩を読み返さずに同じ題材でまた書きました。違うものになっていると思う。