聖域(詩)

湖畔の街の森である

ちいさな森で抜けるのに徒歩でも然して時間はかからない

道は寂しい

杉の木の群れの威容の足もとを心細く寂しく伸びる

途中に一つ奇異とも映るものがある

いやに大きな赤い鳥居だ

神社はないが森の途中で鳥居を潜る

湖の水がつくった夜霧の晩がたまにある

あやかしのたまに起こって乱れる晩だ

立ち込める夜霧のうちに隠されて樹々も鳥居も何か幽かであるらしい

ぼんやりと消えかかる佇まいと情調がある

輪郭の揺らぐような幻覚

いうなれば現実味の当惑がある

ゆくえ知れずになったのは

みな少女

少女と言える歳の子たちで

すでに片手の指では足らず

両手の指に少し及ばぬところとなった

帰った者も一人あったが

何故か狂っていたとやら。

 

 

✳ 画像はフリー素材です。

ほんと、乱発。娯楽性とまでは言わないけど、いつからか退屈でないように意識するようにはなった。良いことなのかどうかは知りません。自分勝手な作品もおれは好きで。