谺(こだま)詩

星と星との織り成したそれは奇跡であったろう

太陽を月の隠したつかのまの白昼の夜

たぶん数十年にいちど訪(おとな)う稀少価値の十数分間がある

そこに彼女の悪夢はいまも忘られもせず息をひそめて蹲っているという

忘られもせず それも彼女の遺された足跡である

地上に闇の迫る最中(さなか)に彼女の父は死んだのだ

太陽を月が蝕む幽遠な奇跡の完成する

その完成を待たずして自ら口に咥えたものの引き金を引いた

銃は立派な猟銃である

その光景は

第一発見者となった当時高校生のその娘には

にわかには理解しがたいありさまで襲いかかる凶暴なものがあった

家の畑のビニールハウスの中である

そこでは主に薔薇を

しとやかな白薔薇を栽培していたが

飛散した禍々しい濡れた色味がその気品ある花弁(かべん)の上に怖ろしく谺(こだま)していた

狂ったような異様なものを聞いたという

それは彼女の声でなくその色彩と状態の声という

そこに発して耳鳴りのように鳴る

発狂した鳴りやまぬ薔薇

慄然と立ち竦むものがあったろう

ちょうどその時ついに最後の残光も隠されて谺は闇に呑まれて絶えた

そしてようやく悟ったという──

 

父を呪った。

 

 

谺は止んであの瞬間をとじこめた悪夢の中にのみ谺しているという

太陽をおかした月の

偽の夜陰(やいん)のそばにある

彼女は真面目なのだろう

忘れようとはしなかった。

 

 

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ずっと読んでくれている人たちがいて、その人たちには読んでほしいので。母に自分の詩を読まれたことは本当に遺憾。あの人に読ませるために書いてない。環境が少し変わって調子が出ない。SNS依存のストーカーに盗聴盗撮されているのです。もう一度書いておきます。ストーカー行為をやめてください。てかさ、おれが全く知られていないほうが都合がいいのでは、お前らにとって。お前らを悩ませているのはお前らです。そして知ってて知らない振りをしている人たち、いますよね。あなた方は、あっち側。誠実さがどうこうとか言わないでください、あなた方は。それを言える立場じゃない。無自覚な奴が一番不誠実なんです。

言いたいこと言ったらスッキリしたわ…… しかしこの世界は卑しいよ。

盗撮なんかされていては執筆が出来ない。困ります。