理性の眠りは怪物を育む(詩)

余りにも澄んで真澄の

歩みを止めた真空パックの現実である。

 

それも真夏の好天の日の午前六時かその辺り

汀(みぎわ)には清新なつめたく触れる瞬間だけがある

大地は赤茶けた有史以前の孤独な大地

そして時計は

金の目覚まし時計はテーブルの上で蕾のように黙然としたものを守っている。

 

水面(みなも)は爽涼なものを崩さず凪いで

大地は水平線まで孤独なままにゆき渡り

時間は殻を守って脈打つことをやめている。

 

浸透度の高い無菌の絵葉書

繊細な黒い細工の黒蟻(くろあり)と似たちいさな蜘蛛が

その顔にひそやかに憑いている。

 

 

✳ 画像はフリー素材です。

タイトルはゴヤの版画から。