南(詩)

みずからに逆らうことをやめ流れのままに混乱している。思うに、それは彼女を孤独にもしただろう。誰も彼女を知らなかったが、誰一人それに気づきはしないほど、そこには嘘が欠け落ちていたのだ。その場しのぎの真実がいつもそこには残り香として残されていた。

或る人は彼女のことをフィリピン人と韓国人とのハーフであると信じていた。実際は沖縄生れの純粋の日本人で、ただ多少目鼻のつくる印象が異国感を匂わせていただけである。或る人は彼女のことを女優志望の自称女優であると思い込んでいた。実際は彼女は役者を志したことはなく、ただいちど興味本位でAVに出ていた。それを演技経験というかなり美化した言葉でネタにしていただけである。

しかし彼女はいつもまじめで真実だったように思える。誰も疑念をいだかなかったのには大した裏もないだろう。その時その席にふさわしい彼女の色に彼女は染まる。だから彼女はいつも誰より嘘つきで、誰よりも正直に自分のままでいたのだ。

僕は彼女を愛したが、彼女が僕を愛したのかは実際のところはよく分からない。消えたのだから、彼女にはそれも可能ということかもしれない。そして彼女はいまそんなに悩んでもないだろう。分からないけどそんな気がする。

僕が彼女に捧げる唄は、だから怨みの表明である。僕はあなたを怨むけど、あなたに今も〝南〟を眺めているのです。

まだ恋だから馬鹿なのだ。

 

     *

 

捨てられたと認めるためにあなたの欠点の数を最近数えているのです

知っている数の多さが裏打ちをする歳月がある

たぶんそんなに多くは知らず

だから今でも僕はあなたに夢を見る

希望的観測と真実とのあいだの場所に

僕の見るあなたの夢は 

そのためいつもここよりも南の座標 

ここよりも白いみぎわの近くにほのめいている

あなたのそばに心のひろい海がある 休息がある

あなたほど巧みな唄はどうせ唱えやしないから

裏切られてもあなたほど自分に巧く嘘もつけない

南の夢を今も見る 今も見ている

 

     *

 

この唄はいつかは僕の恥となる。

その時僕は幸福なはずである。

 

 

✳ 画像はフリー素材です。

異色作、自分的には。〝僕〟はおれではないです(笑)フィクション。

てか、盗撮してないですか、この部屋。被害妄想とは思えない感じがある。でも、カメラが見つからない。盗撮を受け入れるつもりはありません。やめてください。

やめてください、と言いましたから。

ほんと、SNS中はうんざり。嫌われれば嫌われるほど追いかけちゃうんだろうね(笑)興味ねーよ。と言ったら、もっと追いかけてくる。悪い女の餌食になるよ、お前。

そして盗作も便乗も御免です。FBで、色んな表現者と関わったりしたけど、誰もそんな根性でやってない。