戦火の切れ端(2)小品

僕らの隊がその村を横切った時、ある村人はまだいたいけな息子を僕たちにあずけようとしました。砲撃のとどろく音もじきにまぢかに迫ると思い、無学な彼はここよりも兵隊のそばに居させたほうが安全と考えたのです。彼はどうやら少し見落としていました。息子が泣いて彼から離れようとしなかったのは勿論のことですが、この子は父の肩を何度も撲って泣きながら父を叱ったのです。死ぬことよりも家族から離れることのほうが、幼いこの子にはよほど怖ろしいのでした。

 

 

✳ 画像はフリー素材です。

これは実は「プライベート・ライアン」という映画の中にほぼこのままの場面が出てきます。あの映画では一番好きな場面で。もっと変えようと思ったけど、あれより良いものにならない。

盗撮、本当に迷惑です。仕事の邪魔。生活の邪魔。人生の邪魔。

邪魔。