青色(詩)

夏の盛りの陽炎である

滲みの中に残響の震えをやどす情景と見え

そのくせここに聴こえるものは

歩行の脚の小石のような乾いた音だけである。

 

それは確かに

一台の磨かれた瀟洒(しょうしゃ)なピアノ

往来の真ん中で孤独なままに自らを耐えている。

 

誰ひとり振り向きもせず

そこに意外なものを見いだす人もここにはいない。

 

見過ごされている。

 

音楽は譜面のそばにある

陽炎にほのめき揺れる女の亡霊のように

このピアノはひっそりとたたずむだけだ。

 

 

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ほぼおなじ内容の詩を以前にも書いています。ネタ切れしないコツは、おなじようなことを何度も書くこと(笑)ストーカー嫌……