2023-07-15から1日間の記事一覧

こぼれたきもち(詩)

終(つい)のすみかはたぶん浮き沈みのかなたです 会いたい人は まじめにこれを考えるなら 駅改札や二度か三度の乗り換えや綿々としてとめどない眺望の連続のかなたです 実際人はあってないような悩みを悩んで生きるものである 確かなことが一つあるけど こ…

青色(詩)

夏の盛りの陽炎である 滲みの中に残響の震えをやどす情景と見え そのくせここに聴こえるものは 歩行の脚の小石のような乾いた音だけである。 それは確かに 一台の磨かれた瀟洒(しょうしゃ)なピアノ 往来の真ん中で孤独なままに自らを耐えている。 誰ひとり…

人の巣箱(詩)

街 それ自体鉄と硝子と石材とアスファルトの目論まれた建築である つねに浸透する無情に澄んだものがある つねに浸透し蔓延している 到るところに 赤信号 〝進んではいけない〟 街は人より荒んで見える 人よりも疵口(きずぐち)を隠してはないように見える …