2023-07-16から1日間の記事一覧

余韻(詩)

赤らむもののほのかに滲むたそがれ時の虚空(こくう)です ほそい烟(けむり)のたなびくように やわらかな風の流れに運ばれる糸がある 幾条(いくすじ)も 幾条も 風の流れのまにまに浮かび 大人しくその身をゆだね 糸の先にはちいさな蜘蛛がきっとしがみつ…

高度(詩)

硬質かつ緻密な青で 波の揺らぎも温和な顔の包容力もない 曇りない染みも傷みも一点もない爽涼そのものな青 色の温度と季節とのあいだには 別段不思議でもないごくあたりまえな齟齬(そご)がある 七月のはずである あの少年はよく七月の教室にいる。 夢に見…