2023-07-14から1日間の記事一覧

鏡の指紋(詩)

濁流を想わすような天と地の色である。 天秤が東に振れた すなわち西が沈んだわけである 曠野(あらの)で暮らす偽預言者は若い女の魔女である 襤褸々々(ぼろぼろ)の身装(なり)をして 酸っぱい乳房と 道に迷えば真実な自分の水溜まりとを持っている。 松…

少年(詩)

地下鉄は轟音の中を進んだ 重金属のたたかい軋む何かしら深度のふかい轟音である ことさらに揺れの烈しいそこは恐らく曲線だろう 重心の傾き揺らぐ波のうねりの感覚がある うねりにあらがおうと力(りき)めばむしろちからは逆のベクトルへと作用する 委ねた…