2023-07-06から1日間の記事一覧

龍宮之遣(りゅうぐうのつかい)詩

光なく音もなくそこは余りに深くて無限大である 割れた古鏡がある ロココ趣味の着飾ったもので遠い時代のたぶん遺失物と想われる 深淵を映して見つめ 割れて破れたその面(おもて)にも内的な沈黙がある そこにほのめくように過って 奇っ怪にして神威をやど…

少女(詩)

雷鳴と凄惨な雨にみだれる気狂いじみた東京である マンションの屋上で落雷を待つ人がある。 セーラー服と黒髪の無論彼女はうら若すぎる 顔のにきびの凹凸(おうとつ)を滅茶苦茶に乱れた体(てい)が純化して 美しく純粋化して凛凛(りんりん)と鳴りひびく…